亡くなった人の高額療養費は請求可能?相続における取り扱いを解説

亡くなった人の高額療養費は請求可能?相続における取り扱いを解説

故人の生前にかかった高額な医療費は、手続きをきちんと踏めば、亡くなった後でも一定金額の還付を受けることができます。ただし、還付請求には時効(療養に必要な費用を支払った月の翌月から 2 年以内)など、注意すべき点がいくつかありますので、事前に確認してから還付請求をする必要があります。

今回は、高額療養費制度、高額療養費の相続税における取り扱いや注意点について解説します。

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■高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、1ヶ月間にかかった自己負担の医療費が高額になってしまった場合に、一定の金額(自己負担限度額)を超えて支払った分が払い戻されて還付を受けることができるという制度です。

国民健康保険や後期高齢者医療制度、医療保険などの各種健康保険、いずれの加入者でも対象となる制度です。高額療養費の還付対象となるのは「保険適用分」です。

保険外の食事代や差額ベッド代、先進医療に係る費用等は対象外となります。

■高額療養費の相続税における取り扱いや注意点

高額療養費の相続税における取り扱いや注意点

高額療養費は、相続税に関連して次のような取扱いや注意点があります。

(1)高額療養費の還付金は相続財産になる

故人の生前の医療費について、相続後に遺族等の相続人が高額療養費の支給申請をおこなって高額療養費の支給を受けた場合、その高額療養費は相続財産となります。

高額療養費は、あくまで治療を受けた人=被相続人に対して支払われるものであるため、被相続人の財産ということです。

また、相続人が 1 人でない場合で、遺言書や遺言書に高額療養費の還付についての指定がない場合には、支給を受けた高額療養費は土地や建物と同様に遺産分割協議を行う必要があります。

なお、扶養されている人が亡くなった場合に、被保険者(健康保険に加入して扶養している人)が受け取る高額療養費の還付金は、故人の相続財産にはなりません。

扶養されている人の高額療養費の還付金は、扶養している被保険者の権利であるからです。

通常は健康保険料を負担している人が療養費も支払うことになるでしょうから、そう考えると分かりやすいと思います。

(2)高額療養費の還付金を受け取ると相続放棄ができない

上記のとおり、高額療養費の還付金は相続財産にあたります。そのため、相続放棄する前に受け取ると相続放棄ができなくなります。

相続放棄が認められた後でも、高額療養費の還付金を受け取ってしまうと、相続する意思があるとみなされて相続放棄が無効となってしまう可能性があります。

故人に多額の負債がある場合には、還付金を受け取ることでその負債も相続することになってしまうため、特に注意する必要があります。

なお、扶養されている人が亡くなった場合の高額療養費の還付金は、前述のとおり故人の相続財産とはなりません。受け取っても相続を放棄することは可能です。

まとめ

今回は、高額療養費の相続税における取り扱いや注意点について解説しました。

先述した通り、例外はありますが高額療養費の還付金は相続財産になります。故人に多額の負債がある場合には、還付金を受け取ることでその負債も相続することになってしまうため、注意が必要です。

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高額療養費に関するよくある質問

高額療養費に相続税はかかりますか?
高額療養費は相続税の対象となります。高額療養費は、あくまで治療を受けた人=被相続人に対して支払われるものであるためです。しかし、扶養されている人が亡くなった場合に、被保険者(健康保険に加入して扶養している人)が受け取る高額療養費の還付金は、故人の相続税の対象になりません。
高額療養費を受け取った場合、相続放棄できますか?
高額療養費の還付金を受け取ると相続放棄はできません。相続放棄が認められた後でも、高額療養費 を受け取ってしまうと、相続する意思があるとみなされて相続放棄が無効となってしまう可能性があるので注意しましょう。

今回記載した内容は下記の相続通信7月号に掲載しております。