【相続手続①】出生から死亡までの戸籍謄本はなぜ必要?例を挙げて解説!

【相続手続①】出生から死亡までの戸籍謄本はなぜ必要?例を挙げて解説!

今回から相続手続について解説します。相続発生時に最初に取り寄せる書類が、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本です。ぜひ参考にしてください。

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なぜ戸籍謄本を出生までさかのぼるのか

家族に相続が発生した場合、最初に行うべきことは、相続人の確定です。遺言が無ければ、民法で定める法定相続人が相続人となります。相続人が決まれば、遺産分割を行い、誰が何を取得するのか決めます。それが決まれば、名義変更などの相続手続きを進めていきます。ここでは、法定相続人とは誰かを決めることが重要です。

民法では相続人になる人、すなわち、法定相続人を定めています。法定相続人は、被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。なお、被相続人とは、亡くなった方のことです。

法定相続人のうち、配偶者と子につき、注意点があります。民法で定める法定相続人になる配偶者とは、法律婚をしている人、すなわち、婚姻届を市区町村役場に提出した人を対象としています。内縁の妻・夫の関係にあった方は法定相続人ではありません。離婚した元夫や元妻は、配偶者ではないので、法定相続人にはなることはできません。

一方で、被相続人の離婚した配偶者との子、婚外子、養子も法定相続人です。養子とは戸籍上の養子縁組をしている者を指します。ただし、再婚相手の連れ子など、事実上の養子は、法定相続人となる子には含まれません。それゆえ、死亡時の戸籍謄本だけ入手していては、法定相続人を見つけられないことがあるのです。離婚した配偶者との子どもがいたり、認知した婚外子がいたりするとき、転籍する前の戸籍に彼らが記載されていることがあるからです。死亡時の家族が聞いたことがない養子がいたことが、発見されることもあります。

法定相続人の順位を理解する

法定相続人の順位

出生まで戸籍謄本をさかのぼりますと、法定相続人を洗い出すことができます。ただし、全員が法定相続人となるわけではありません。順位があります。配偶者は、常に相続人となります。子、直系尊属、兄弟姉妹は、血族相続人といいますが、彼らには順位が定められています。

第1順位が子や孫などの直系卑属です。第1順位の相続人がいない場合、父母などの直系尊属が第2順位の相続人となります。そして、第1順位も第2順位もいない場合は、兄弟姉妹が第3順位の法定相続人となります。上位の法定相続人が生存していれば、その人は相続人となることができません。

具体例で示しましょう。例えば、被相続人 Xには、配偶者 Y、子 A がいるケースです。被相続人の死亡時、父 B も健在だった例を示します。このケースでは、配偶者 Y は相続人となります。子 A は第1順位の相続人として、Y とともに相続人となります。しかし、被相続人の父 Bは、相続人なりません。先順位の相続人である子 A がいるためです。一般的に、子どもが相続人となるケースが多く見られます。

次に、被相続人 X には、配偶者 Y、父 C、兄D がいるケースを示します。X には子どもがいない場合です。このケースでは、父 C は第2順位の相続人として、Y とともに相続人となります。被相続人の兄 D は、相続人になりません。先順位の相続人である父 C がいるためです。

このように第3順位の法定相続人である被相続人の兄弟姉妹は、被相続人の子も直系尊属もいない場合のみ、相続人になります。

相続で使用する戸籍謄本とは?

相続手続きを行う際は、相続税申告にせよ、相続登記にせよ、銀行口座の解約にせよ、被相続人と相続人の戸籍謄本が必要です。相続人の戸籍謄本は、財産を相続する人が健在であることを示すためのものなので、相続人出生まで遡る必要はありません。

つまり、相続人の戸籍謄本は、現在の戸籍謄本があればよいのです。また、相続人の戸籍謄本は、戸籍抄本でもかまいません。これらは、相続人の現在の本籍地である市区町村で取得することができ、容易な手続きです。

これに対して、被相続人の戸籍謄本は、出生から死亡時まですべて取得しなければいけません。被相続人の法定相続人を確定するためです。相続人の戸籍謄本と違い、死亡時の戸籍謄本では足りません。例え、遺族全員が「相続人はほかにいない」と信じていても同様です。被相続人の出生時まで戸籍謄本を取得してみると、まったく知らなかった法定相続人が見つかるケースがあります。

法定相続情報証明

相続手続きでは、金融機関、税務署や法務局など戸籍謄本の提出先がたくさんあります。この際、コピーを提出することはできず、原本の提出が必要です。確かに、戸籍謄本の原本を1度提出して、手続き完了後に還付してもらうことはできます。

しかし同時に複数の手続きを進めたい場合は、原本が 1 セットしかないと不便です。原本を2セット、3セット用意するとしても、費用がかかります。そのようなときは、法務局の法定相続情報証明をもらうと便利です。ただし、法定相続情報証明の作成には、相続手続きに必要な戸籍謄本などの書類一式が必要となります。

すなわち、被相続人の住民票の除票、相続人の現在の戸籍謄本、被相続人の出生までの戸籍謄本などすべての書類です。また、相続関係説明図を作成する必要があります。
作成するときだけ手間がかかりますが、一度作ってしまうと、後は楽になります。詳しいことは、ぜひ税理士にご相談下さい。

まとめ

今回は、相続手続きのひとつである戸籍謄本の入手について解説しました。相続の手続きは複雑なものが多く手間も時間も大きくかかってしまいます。弊社は、相続時に必要な各種手続きをワンストップでサポートいたします。初回のご相談・お見積りは無料です。弊社の経験豊富な税理士が親身に対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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戸籍謄本や法定相続人に関するよくある質問

出生から死亡までの戸籍謄本はなぜ必要?
法定相続人を確定するために必要です。 死亡時の戸籍謄本だけ入手していては、法定相続人を見つけられないことがあるのです。 例えば、離婚した配偶者との子どもがいたり、認知した婚外子がいたりするとき、転籍する前の戸籍に彼らが記載されていることがあります。
法定相続人の順位を教えてください。
配偶者は、常に相続人となります。子、直系尊属、兄弟姉妹には順位が定められています。 第1順位:子や孫などの直系卑属。 第2順位:父母などの直系尊属 第3順位:兄弟姉妹 上位の法定相続人が生存していれば、その人は相続人となることができません。

た弊社・笠岡克巳税理士事務所は、毎月「相続通信」を発行しております。12月号では、本記事で解説した相続手続きについて掲載しています。