自分が亡くなったあと、「親族に財産を渡したくない」という方は遺言書を作成して、自分の死後の財産について指定することができます。これを「遺贈」といいます。
今回は、遺贈とは何か、遺贈の種類、遺贈の放棄や無効などについて解説します。
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遺贈とは?
遺贈とは、遺言によって他人に財産を与えることです。生前における財産処分の自由を死後にまで及ぼすもので、相続人以外の人にも遺産を与えることができます。
遺贈の種類
①包括遺贈
遺産の全部または一部につき何分の一というような一定割合を示してなされる遺贈です。
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することになります。ただし、包括受遺者が相続人でなければ、次の規定は適用されません。
<適用されない規定>
- 基礎控除の計算上加算される相続人数
- 生命保険金等及び退職手当金等に係る非課税金額
- 相次相続控除
また、受遺者が遺贈者の一親等の親族及び配偶者以外の者であれば、相続税の二割加算の対象となります。
②特定遺贈
特定遺贈とは、特定の具体的な財産的利益によりなされる遺贈です。特定遺贈には、特定物遺贈と不特定物遺贈に分けられます。
特定物遺贈の場合には、遺言の効力の発生のときに目的物の所有権が受遺者に移ります。
<受遺者と遺贈義務者>
受遺者
遺贈によって利益を受ける者…遺贈の効力発生のときに生存している必要がある。
遺贈義務者
遺贈を実行すべき義務を有している者…原則として相続人、遺言があれば遺言執行者が遺贈義務者となる。
遺贈の承認・放棄
包括遺贈は相続と同様に扱われます。そのため、放棄する場合には包括遺贈のあったことを知った時から3か月以内に放棄の旨を家庭裁判所に申述する必要があります。
受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄をすることができます。遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時に遡ってその効力を生ずることとなります。また、遺贈を放棄した場合には、撤回することはできません。
遺贈の無効・取消し
遺贈は遺言で実行されるため、遺言に無効の原因があれば遺贈も無効となります。また、遺言は法律行為となるため、法律行為の無効・取消原因があった場合にも無効等になります。
<遺言に特有の無効原因>
- 遺言能力の欠如
- 所定の方式の欠如
<遺贈に特有の無効原因>
- 遺言者の死亡以前に受遺者が死亡した場合
- 停止条件付の遺贈について受遺者が条件の成就前に死亡した場合
- 遺贈の目的となっている権利が遺言者の死亡の時に相続財産に属していない場合
まとめ
今回は遺贈とは何か、遺贈の種類、遺贈の放棄や無効などについて解説いたしました。
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遺贈に関するよくある質問
- 遺贈とは何ですか?
- 遺言によって他人に財産を与えることです。
- 遺贈が無効になることはありますか?
- 遺贈は遺言で実行されるため、遺言に無効の原因があれば遺贈も無効となります。
今回記載した内容は下記の相続通信5月号に掲載しております。